皮膚の構造:

皮膚は人の身体の中で最も大きな臓器であり、外部環境の変化といった日常のストレスを直に受けています。そのため、細菌や汚染物質から身体を守るのに非常に重要な役割を果たし、 最適な体温を保つ働きを担っています。

皮膚は3層に分かれています(イラストを参照):
  • 表皮 (皮膚の一番外側)
  • 真皮 (結合組織、毛包、汗腺を含む)
  • 皮下組織
Three layers of skin

表皮:

表皮は基底層、有棘層、顆粒層、透明層、角質層の5層で構成されています。表皮の主な成分はケラチノサイトという細胞で、その他にメラノサイト、ランゲルハンス細胞、メルケル細胞、炎症細胞から構成されています。

基底層には、表皮幹細胞が存在しています。この細胞は分裂して上の層に新しい細胞を補給します。その際、各表皮幹細胞は2つの娘細胞に分裂します。このうち1個は幹細胞のまま、後に新たなケラチノサイトを増殖させます。そしてもう1個の娘細胞は分化と呼ばれるプロセスを進行させます。

ケラチノサイトの分化は、表皮幹細胞が基底層から皮膚の表面へ上方に移動しながらケラチノサイトを形成し、構造と含有量(インボルクリンとケラチン)を変化させていくプロセスです。このように上方へ移動する途中で、ケラチノサイトは有棘層、そして顆粒層の一部となり、分化が完了するまでには核とオルガネラが失われ、角質細胞を形成します。角質細胞は 角質層の主成分ですが、後にはがれ落ちます。

分化の各段階で、ケラチノサイトは特定のケラチンを発現させます。その例として、ケラチン1、ケラチン5、ケラチン10、ケラチン14などがあります。また、他にも分化マーカーとしてインボルクリン、 ロリクリン、トランスグルタミナーゼ、 フィラグリン、カスパーゼ14といった成分も形成されます。

ケラチノサイトの分化はカルシウムの濃度勾配によってとりなされています。基底層と角質層の間はカルシウムイオン(Ca+2)の濃度が高く、このことが層を形成するのに重要な役割を果たしています。逆に、カルシウムイオン濃度が最も低いのは角質層内です。角質層では角質細胞が死んで、Ca+2がそれ以上分解されなくなるためです。角質層の細胞はやがてはがれ落ちてしまいます。このプロセスを落屑といいます。

角質層は角質細胞から成る層です。そして、この角質細胞はロリクリン、インボルクリンで構成された不溶性タンパク質の細胞外皮で包まれています。また角質細胞は 層状体から脂肪酸とセラミドを放出し、隙間を埋めます。

真皮:

真皮は線維芽細胞から成り、その周囲を細胞外基質が取り巻いています。そして細胞外環境は、ゲル状の糖タンパク質の中にコラーゲン、エラスチン繊維が浮いて成り立っています。真皮にはたくさんの水分が含まれています。ここで水分を保持し、コラーゲンとエラスチン繊維を安定させる重要な機能を果たしているのが、細胞外基質の成分の一つであるヒアルロン酸です。

真皮は私たちの身体をストレスから守り、たるみを防いで肌にハリを与える、いわばクッションのようなものです。また、身体を治癒させる際にも大きな役割を果たします。

皮下組織:

皮下組織は皮膚の一番内側にある組織で、線維芽細胞、脂肪組織、マクロファージにより構成されています。また、温度調節やエネルギーを蓄えたりするという重要な機能もあります。